国債買い入れ、過去最大
日銀による6月の国債買い入れ額が、月間で過去最大に膨らんだ。
欧米各国が金融引き締めに転じる中、日銀は景気下支えのために大規模な金融緩和策を継続。日銀の政策修正に期待した海外投資家などによる国債の売り圧力が強まり、日銀の買い入れ額が急増した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の試算によると、日銀は6月に合計で約16兆円の国債を購入した。これまで最も多かった2014年11月の約11兆円を上回った。
6月中旬の日銀金融政策決定会合を前に、債券市場では海外投資家らが投機的な日本国債売りに走った。会合最終日の17日には長期金利が一時、日銀が許容する上限の0.25%を超え、0.265%まで上昇(債券価格は下落)した。
日銀は特定の利回りで無制限に国債を買い入れる「指し値オペ」を連日実施し、これに対抗。通常の買い入れオペを増額したほか、従来の新発10年物国債だけでなく、償還までの期間が7年超の国債も購入して金利上昇を抑え込む姿勢を鮮明にした。
黒田東彦総裁は、大規模緩和について「限界が生じているということはない」と強気の構えを崩していないが、市場では「いずれ日銀が手詰まりになる」との見方が広がる。
大規模な国債買い入れは副作用ももたらす。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「(中央銀行の)保有割合が増えるほど金利は上がりにくくなり、財政規律の緩みにつながりやすい」と指摘する。
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