大手行も参入
広がるデジタル地域通貨 大手行も参入、活性化支援 金融機関
特定の地域のみに流通する「デジタル地域通貨」を発行する動きが、金融機関に広がっている。
地元のキャッシュレス化や経済活性化を支援するとともに、地域との連携を深めてビジネス機会を探る。メガバンクのみずほ銀行も参入し、関心が高まりつつある。
デジタル地域通貨は、特定の自治体やコミュニティー内での買い物などに使え、主にスマートフォンアプリで決済。他の地域では使用できないため、お金が地域外に流出せず、紙などの地域通貨よりコストも抑えられるのが特長だ。
地域のボランティア活動に参加するとポイントがたまったり、飲食店などの「裏メニュー」を地域通貨でのみ買えたりと、利用者にとってのインセンティブ(動機付け)を用意しているケースも多い。
飛騨信用組合(岐阜県高山市)は2017年に同市と飛騨市、白川村で「さるぼぼコイン」の取り扱いを開始。加盟店は約1920店、累計の決済額は約80億円に上る。君津信用組合(千葉県木更津市)が18年から市と連携して発行する「アクアコイン」も決済額は13億円を超える。市は「活性化につながる」と期待する。
昨年10月、群馬県高崎市で「高崎通貨」の取り扱いを始めたみずほ銀。今年3月からは福島県会津若松市で「会津コイン」を提供する。いずれも地方銀行など約800の金融機関と連携する同行のスマホ決済サービス「Jコインペイ」のシステム基盤を活用している。
同行は会津コインについて、決済を通じた利用者情報のデータ事業も検討。「地元事業者との新規ビジネスにつながる可能性がある」(デジタルイノベーション部)とみており、今後展開地域の拡大も視野に入れる。
このほか、北国銀行(金沢市)も今夏以降、石川県珠洲市でデジタル地域通貨の取り扱いを始める予定だ。大和総研の長内智主任研究員はこうした動きについて、「地方の人口減少が進む中で長期的、持続的にビジネスモデルとして成功するかを見ていく必要がある」と指摘している。
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