「2025年問題」って?
客は増えてるのに倒産!? 好調のゴルフ場業界に横たわる火種「2025年問題」って?
年間約5万6000人の来場者があっても内情は厳しい
密にならず、感染リスクも低いことで、コロナ禍でも好調なゴルフ場やゴルフ練習場。特に若年層のゴルファーの増加や、ビギナーズキットの売れ行きが好調であるとの話題は、ゴルフ業界の堅調ぶりを裏付ける話題として受けとめられていました。
そうした中、気になるニュースがここにきて続いています。高松グランドカントリークラブが黒字経営を維持していたにもかかわらず、民事再生手続きによる再建を目指すことになったというのです。
香川県内で36ホールのゴルフ場はここだけで、年間約5万6000人の来場者があったものの、内情は厳しかったようです。
「昨年の4月から6月頃はコロナの感染対策でクラブハウス内のレストランは完全に閉めてしまって、プレー代のみの収入となり赤字。今は戻りつつあるものの、約1800人いるメンバーの平均年齢は60代の後半です。75歳を超えると、ゴルフの回数は減ってきます。(預託金返還の)問題は、目前に迫っているのです」(コース関係者の話)
ここにも2025問題が、どっかりと横たわっていました。2025年、団塊の世代が後期高齢者となる75歳に達するのです。すでに今年、65歳以上の高齢者は29・1%に達しました。超高齢社会は着実に進行中で、ゴルファーのリタイアもそれに比例して増えていきます。退会者の急増は避けられない状況となっていたわけです。
ここで少し、預託金についての解説をしておきましょう。預託金制のゴルフ場に加入を希望する場合には、ゴルファーが預託金をそのゴルフ場に預け、ゴルフ場がその預託金を原資にゴルフ場の開発を行います。この預託金は基本的に無利子で据え置かれた上で、10年から20年程度の据え置き期間後、会員が退会の意思を表明した場合には償還されるというのが一般的な流れです。また会員はその要求をすることができます。
高松グランドの場合、負債総額の大半を占める預託金の額は会員1人当たり約250万円といいますから、これだけでも約45億円。もはや償還の目途は立たないという判断から、民事再生を選択したということです。
日本のゴルフ場の約半数が裁判所のお世話になっている
こうした事態は、まだまだ続くのでしょうか。九州地方のあるゴルフ関係者は「高松グランドさんの件は、他人事じゃありません」とうなずいて、こう続けました。「うちもメンバーは高齢者が中心。預託金の問題は避けられません。近いうちに民事再生を選択することになると思います」と、半ばあきらめの表情でした。
こうした状況を受けて『ゴルフ文化産業論 自然に帰ろう』(10月30日発刊、河出書房新社)など、ゴルフジャーナリストとして多くの著書がある西村國彦弁護士も「(米投資会社に巨額の資金で売却された)アコーディアの影響もあって『会員権が上がり、ゴルフ界が復活するならずっと負債を抱えているよりはここで整理した方がいい』という判断が出やすい時期が来ていることを感じますね」と、ゴルフ場経営者たちの心理状態を敏感に感じ取っていました。
「民事再生法は(経営者側が)恥をかいて、頭を下げて、(会員の)半数以上の支持を取り付ければ、(ゴルフ場経営を)継続できます。会員権評価が上がらない原因は、預託金が残っているから。『預託金問題を解決してゴルフ場の価値上がり、収益力が上がれば、ゴルフ場の評価がどんどん上がって会員権の価値も上がって、買いも入る』という見方は結構ある。そう考える経営者が増えてくるタイミングなのかもしれませんね」(西村弁護士)
民事再生法は平成12年(2000年)に施行され、会社更生法と並んでゴルフ場の整理に威力を発揮した法律です。
「これによって全国約1000のゴルフ場が法的整理を経験するに至る。しかもそのほとんどで会員の預けたお金(預託金)は戻らないが、プレーする権利は、少なくとも表面上は維持されてきた」(『ゴルフ文化産業論』より)
全国のゴルフ場の数は、今年の4月時点で2151(一季出版・ゴルフ特信調べ)。うち8割強がメンバーシップのゴルフ場だと言われています。単純計算で約1700として、1000コースが裁判所のお世話になっている計算になりますから、預託金制を取るゴルフ場でこれまで無傷だったところは700程度しかないのです。いかに凄まじいスピードでゴルフ場が法的整理を選択したかが分かる数字です。
西村弁護士は、その裏事情をこう解説してくれました。
「会員の90%から賛成を取っても、一部の高額会員権の場合は(預託金の返還を求める)裁判が起きます。それでやっぱり再生法を使わざるを得なくなる部分もある。巨額の銀行債務があっても、会員が団結すれば、太平洋クラブのように、道がひらけます。民事再生は簡単に半年で整理できるという武器をゴルフ場にくれた。皆それを恐る恐る使っているうちに、経済合理性を考える人は『やってしまえ』となったわけです」
それでも一部のゴルフ場は、預託金償還などの問題がありながらも、さまざまな工夫をして何とか踏ん張ってやっています。
「安易に再生法を選択せず、頑張るオーナーを応援したいなと思って今日までやってきた。その点では、一抹の寂しさを感じますね」(西村弁護士)
ゴルフ場は1人何役もこなすような経営努力が必要
会員権取引業のタクト(株)社長で日本ゴルフジャーナリスト協会の会員として取材活動もしている大野良夫さんも、安易に民事再生を選択する姿勢に疑問を呈する一人です。
「経営者側には『これまで精いっぱい、汗かいたんですか?』と言いたいです。『今までのやり方じゃダメだよ、償還が来るんだよ、万歳するんだよ、この辺で詳しい弁護士紹介してくんない?』というのでは、あまりに安易。もうからないからリストラじゃなくて、1人何役もやって従業員をスキルアップしていかないと(今のゴルフ場は)もたないと思うんです。支配人も朝、パソコンに向かって仕事をした後、10時半になったら配膳を手伝って、1時半にはバッグの上げ下ろしをするとか、1人2役、3役をこなさなければいけない時代だと思うんです。実際に、料理長が朝はバッグの積み下ろしを手伝っているゴルフ場もあるわけです。経営者側もコースメンテナンスを良くして、クオリティを高めて、会員満足度を高めていかないと、愛されるゴルフ場には、ならないと思うんです」
経営サイドにも問題があることは見えてきました。一方で日本ゴルフ場経営者協会の大石順一専務理事は、一時のような民事再生ラッシュの心配はない、との見方です。
「今後増えてくることは、考えにくいと思っています。今後もぽつぽつと出てくるとは思いますが、そもそも古いゴルフ場は、会員権の額面が安い。パブリック、社団法人、株主会員制などを外せば、1700コースくらい。そのうち1000くらいが民事再生、会社更生、和議などで経営交代していますから、もう600とか700しか残っていない。そのうちの1つが高松グランドですから」
今後のゴルフ界の行方に関しても、明るい見方を示します。大石氏のコメントでこの稿を閉じたいと思います。
「M&Aをかけられてハゲタカファンド系に持っていかれ、金は返してくれない、会員と言えども何もメリットがない、というのは最悪。会員権は二束三文でも、自分がゴルフができるならいいや、という人もいるわけですから。少子高齢化で人口は少なくなっていきますが、ゴルフが身近なものになっているわけです。それほど悲観するものでもないと思いますよ。新しい層のゴルファーが増えて、見込み客は増えているわけですから」(大石専務理事)
(日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川朗)
小川朗
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