マイナ法改正、何が変わる?
マイナ法改正、何が変わる? 行政手続きを効率化
個人に割り振られたマイナンバーや、番号を印字したカードの利活用を進める関連法の改正案が閣議決定された。行政手続きの効率化や利便性の向上が期待される一方、個人情報の漏えいリスクや国会の審議を経ない情報連携などを懸念する声もある。
―マイナンバーとは。
日本国内に住民票を持つ人全員に通知される12桁の個人番号で、原則一生変わらない。行政サービスの受給状況や所得状況を把握し、公平な給付・負担の実現を図るため、2015年に制度化された。国や自治体の間で情報連携すれば、事務の効率化が期待される。住民票の写しや課税証明書など提出書類が減り住民にも便利とされている。
―どんなときに利用されるの。
今は基本的に社会保障、税、災害対策の3分野に限られている。マイナンバー法の「別表」と言われる部分に、番号を利用する行政機関や事務などが示されていて、「健康保険に関する事務」など約100項目が列挙されている。
―法改正で何が変わるの。
今回決まった法案によると、3分野のほかに国家資格の取得・更新などにも使えるようにする。また、「別表」の一部は法改正を不要とし、省令で定められるようにするのも大きな変更点だ。
例えば、新たな感染症が拡大して給付金などの事務が急に必要になっても、すぐ対応できるようにするのが狙いだ。法改正だとシステム改修を含め計2年程度かかるため、デジタル庁は時間短縮のメリットを強調している。
―便利だけど問題点はないの。
情報連携で扱う個人情報などの種類を省令で決めることになれば、国会の審議を経ずに行政だけの判断でマイナンバーの活用が進む可能性もある。政府側は「何でも自由に情報連携できるわけではない」と説明するが、チェック体制の確保について議論になりそうだ。
―個人情報漏えいのリスクはないの。
政府は、個人情報は分散管理しているほか、行政機関などが情報をやりとりする場合は、マイナンバーから生成した別の符号を使うなどの対策を取っていると強調している。ただ、扱う分野や携わる機関が増えれば、漏えいリスクも増えるとの指摘がある。便利さをアピールするだけでなく、不安払拭(ふっしょく)に向けた丁寧な説明も必要だ。
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