22年国際収支 経常収支の黒字幅は大幅減
22年国際収支 経常収支の黒字幅は大幅減 貿易収支の赤字転落響く
財務省が8日発表した2022年の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は前年比47・0%減の11兆4432億円となり、黒字幅は大きく縮小した。原油や石炭など資源価格の高騰や円安進行による輸入物価の上昇で、貿易収支が大幅赤字に転落したことが響いた。
経常黒字額は、14年以来8年ぶりの低水準。前年と比べた黒字の減少額は、10兆1478億円と過去最大を記録した。ロシアのウクライナ侵攻を背景に資源高に拍車がかかる中で、資源を海外に頼る日本経済の課題が浮き彫りとなっている。黒字額の低迷は今後も続く可能性がある。
経常収支のうち、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は15兆7808億円の赤字だった。赤字は7年ぶり。資源価格の上昇や円安で輸入額が114兆4711億円(前年42・0%増)と過去最大となり、輸出額の98兆6903億円(同19・9%増)を大きく上回った。
旅客や貨物輸送を含むサービス収支も5兆6073億円の赤字となり、前年から赤字幅は拡大した。このうち、訪日外国人の消費額から日本人が海外で使ったお金を差し引いた旅行収支は、政府の水際対策が徐々に緩和されつつあることもあり4360億円の黒字を確保した。ただ、海外での研究開発の支払いが増えたことでサービス収支全体では赤字となった。
一方、海外投資で生じた利子や配当収入の動向を示す「第1次所得収支」は過去最大となる35兆3087億円の黒字となり、貿易収支とサービス収支の赤字をカバーした。資源価格の高騰もあって商社などの海外子会社からの配当が増加した。
同時に発表された22年12月の経常収支は前年同月比90・9%減の334億円の黒字。貿易収支は1兆2256億円の赤字だったが、第1次所得収支は1兆7952億円の黒字だった。【松倉佑輔】
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