ZOOMで900人解雇
米CEO、ズーム会議で900人を一斉解雇 SNSなどで批判
アメリカの住宅ローン企業の最高経営責任者(CEO)が、Zoom(ズーム)会議で従業員900人を一斉解雇し、ソーシャルメディアなどで批判を浴びている。
デジタル住宅ローン融資会社「Better.com(ベター)」のヴィシャル・ガーグCEOはズーム会議で、「この会議に呼ばれているあなたは、解雇される不運なグループだ」と告げた。その模様の動画は、のちにソーシャルメディアに投稿された。
動画の中でガーグ氏は「前回これをやった時には泣いてしまった」、「違うニュースであればよかったのに。会社が反映していればよかったのに」と、机の上のメモを見ながら、慎重な口調で述べている。
また、従業員の働きぶりや生産性、市場の変化などに言及。従業員の15%を解雇することにしたと説明した。
一方で、ベターが先週、投資家から受けた7億5000万ドル(約850億円)の資本注入については触れなかった。
同社のケヴィン・ライアン最高財務責任者(CFO)はBBCの取材に対し、「解雇を決めるのは断腸の思いだ。1年のこの時期には特に」と述べた。
一方で、「急激に進化する不動産市場」に追随するためには、「堅固なバランスシートと、少数精鋭の労働力」が必要だと話した。
■経営スタイルに批判
ガーグCEOの経営スタイルは以前も批判を受けていた。
昨年には米誌フォーブスが、ガーグ氏が従業員に送ったというメールを掲載。そこには「お前たちはあまりにも仕事が遅い。まぬけなイルカの集まりだ。だから止めろ、止めろ、今すぐ止めろ。俺に恥ずかしい思いをさせている」と書かれていた。(編注:太字部分は実際のメールでは大文字で記載)
米誌フォーチューンは今回の解雇劇の後、ガーグ氏が匿名のブログで、ベターの元従業員の生産性が低く、2時間しか働いていないのに8時間以上の勤務時間を申請することで同僚や顧客から利益を「盗んで」いたと書いていたと報じた。
ベターは住宅購入プロセスを「より早く、効率的に」する技術を売りにしており、企業価値は約60億ドル。今年4月には日本のソフトバンクから5億ドル(約548億円)の出資を得ている。
■共感が感じられない
クリスマスを目前にしての一斉解雇に、ソーシャルメディアでは「冷たい」、「残酷だ」、「ひどい行いだ」などの批判が沸き起こった。
英リヴァープール・ジョン・ムーアズ大学で雇用法とビジネス研究の講師を務めているジェマ・デイル氏は、ズーム会議での解雇通達は「企業を率いる方法としてありえない」と指摘した。
また、こうした形での一斉解雇は、イギリスでは合法ではない可能性があると述べた。
「アメリカでできるからといって、やるべきということにはならない」
「どんなに困難な状況でも、こうしたことには共感を感じさせ、道義をわきまえた方法がある」
その上で、ガーグCEOの振る舞いは企業だけでなく、「今いる従業員も、会社が人をどう扱うのかを見て、自分たちが将来どう扱われるのかを判断する」ため、従業員にも被害がおよぶと述べた。
「要求されている水準や仕事量を満たしていない従業員を取り扱ううえで、正しい道筋というものがある。雇用主は適切な行動でこの問題に取り組む権利がある一方で、倫理的・合法的に正しい方法が存在する」
(英語記事 US boss fires 900 employees over Zoom )
(c) BBC News
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