東京が全体の4分の1を占める
コロナ破たん、累計1916件 東京が全体の4分の1を占める
8月12日は16時時点で「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)が2件判明、全国で累計1816件(倒産1714件、弁護士一任・準備中102件)となった。
月別では、2021年に入って2月(122件)、3月(139件)、4月(154件)と、3カ月連続で最多件数を更新した。5月は124件と4カ月ぶりに前月を下回ったが、6月は155件で過去最多を記録した。7月も140件に達し、過去3番目。8月も12日までに46件と、高水準が続いている。
なお、倒産集計の対象外となる負債1000万円未満の小規模倒産は累計100件判明。この結果、負債1000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計で1916件となった。
各地で感染拡大が深刻化し、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の適用範囲も拡大した。休業や酒類提供の自粛要請を受けている飲食店に加え、外出自粛によるサービス業、これらの業種を取り巻く取引先などにも影響が及び、厳しい事業環境が多くの業種に広がっている。
コロナ関連の金融支援策は継続するが、業績回復しないままコロナ融資の返済がスタートする企業も出始め、過剰債務の問題も浮上している。息切れや事業継続をあきらめて破たんに至る小規模事業者が目立ち、コロナ関連破たんは今後も増加をたどる可能性が高まっている。
【都道府県別】(負債1000万円以上) ~ 30件以上は13都道府県 ~
都道府県別では、東京都が427件(倒産401件、準備中26件)に達し、全体の約4分の1(構成比23.5%)を占め、突出している。以下、大阪府197件(倒産185件、準備中12件)、神奈川県92件(倒産88件、準備中4件)、愛知県84件(倒産84件)、兵庫県(倒産68件、準備中6件)と福岡県(倒産72件、準備中2件)が各74件、北海道69件(倒産68件、準備中1件)と続く。
12日は東京都、大阪府でそれぞれ1件ずつ判明した。10~20件未満が17県、20~30件未満が10府県、30件以上は13都道府県に広がっている。一方、5件未満は山梨県(2件)、秋田県と鳥取県(各4件)の3県のみ。
【業種別】(負債1000万円以上)~飲食が最多の329件、建設、アパレル、食品卸、宿泊が続く ~
業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が最多で329件に及ぶ。首都圏などでは休業や時短営業、酒類提供の制限などが続き、飲食業の新型コロナ破たんがさらに増加する可能性が強まっている。
次いで、工事計画の見直しなどの影響を受けた建設業が174件、小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)の157件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業が89件、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が88件と、上位を占めている。
【負債額別】(負債1000万円以上)
負債額が判明した1784件の負債額別では、1千万円以上5千万円未満が最多の656件(構成比36.7%)、次いで1億円以上5億円未満が591件(同33.1%)、5千万円以上1億円未満が318件(同17.8%)、5億円以上10億円未満が114件(同6.3%)、10億円以上が105件(同5.8%)の順。
負債1億円未満が974件(同54.5%)と半数を占める。一方、100億円以上の大型倒産も6件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。
【形態別】(負債1000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した1714件の形態別では、破産が1525件(構成比88.9%)で最多。次いで民事再生法が85件(同4.9%)、取引停止処分が82件(同4.7%)、特別清算が14件、内整理が7件、会社更生法が1件と続く。
「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割未満にとどまる。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。
先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。
【従業員数別】(負債1000万円以上)
「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した1714件の従業員数の合計は1万9640人にのぼった。
1714件の内訳では従業員5人未満が943件(構成比55.0%)と、半数を占めた。次いで、5人以上10人未満が337件(同19.6%)、10人以上20人未満が233件(同13.5%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
また、従業員50人以上の破たんは2021年1-3月で12件、4月以降は4件発生している。
※ 企業倒産は、負債1000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。
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