首相記者会見②
「今回の緊急対策では、最大の課題である感染拡大防止に向けた施策も盛り込みました。PCR検査については各種の取り組みにより、現時点で前回会見したときよりも、50%多い1日あたり6000件を超える確かな検査を行うことが可能となっています。短時間で検査ができる簡易検査機器の開発も順調に進んでおり、一部については、今月中にに利用を開始できる見込みとなりました。民間検査機関における設備導入を支援することで、一層の能力増強にも努めます。こうした取り組みを通じて、今月中には1日当たり8000件まで検査能力が増強できる見込みです。これを活用していわゆるクラスターと呼ばれる集団による感染の早期発見、早期対応に努めるとともに、患者の早期診断につなげ、重症化予防に取り組んでまいります」
「緊急時に備えた医療提供体制の整備も急務です。全国で感染症指定医療機関の病床をさらに積み増すことで、既に1万2000床以上の空き病床を確保しました。重症者の治療に必要となる人工呼吸器についても、現時点で、3000個を確保しており、予算措置を講じ、さらなる整備に取り組んでまいります。現在は、対症療法を根気強く続けるほかなく、決定的な治療薬やワクチンが存在しない。そのことが世界的な不安の最大の原因です。昨日の米国トランプ大統領との電話会談では、治療薬などの研究開発で緊密に協力していくことで一致しました。日本だけでなく、米国や欧州、さらにはWHOも含めて世界の英知を結集することで、治療薬などの開発を一気に加速したい。日本としてリーダーシップを発揮してまいります」
「世界的な感染の拡大がいまだに止まりません。繰り返しになりますが、今私たちにできることはまず感染の爆発的な拡大を抑えることです。そうすることで、全ての重症者に適切な医療を施すことが可能となり、いわゆる医療崩壊を避けることができます。そして、感染のピークをできるだけ後ろに遅らせることです。そうすることで、治療薬などが開発されるまでの時間稼ぎが可能となります。国民の皆さまには本当に大変なご苦労をおかけしておりますが、引き続きお一人お一人のご協力をお願いいたします」
「これは、わが国だけの孤独な戦いではありません。世界全体が今、新型コロナウイルスという共通の敵に立ち向かっています。昨日はトランプ大統領に続き、フランスのマクロン大統領とも連携を確認しました。G7、G20の枠組みを活用し、経済政策も含めた国際社会の結束した対応をリードしていく考えです。人類はこれまで幾度も感染症の脅威にさらされながら、そのたびに乗り越えてきました。世界が手を携えれば、乗り越えられない困難などありません」
クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」については明日、全ての乗客乗員への検疫対応が終了します。総員3700名を超える船の中で、見えないウイルスと戦うという、前例のない本当に困難を極めたミッションでありましたが、全員への検疫対応を終えることができます。この間、自国民を帰還させるため、チャーター機を派遣するなど、各国の協力に対して感謝申し上げます。そして、医療関係者をはじめ、1カ月半の長きにわたり、過酷な現場で、全力を尽くしてくださった全ての皆さまに心から敬意を表したいです。いかなる困難も力を合わせれば必ずや克服することができる。打ち勝つことができる。私はそう確信しています。私からは以上であります」
新型コロナウイルスがどのような状況になれば、緊急事態宣言を発令するのか、客観的な基準は。これまでの危機管理の中で得られた反省点や教訓は
「あの、今、ご質問にあったようにですね。現時点で感染状況を踏まえれば緊急事態宣言を出すような状態ではないと認識をしています。現時点でですね、数値基準のような形でお示しすることは困難ではありますが、確かにこの私権を制限するという、そういう面もあるわけですから、その判断に当たっては専門家のご意見を伺いながら、慎重に行っていきます。
なお、緊急事態が宣言された場合には、決定に至った背景等を含めて本日のような私から国民の皆さんにご説明をする機会を設けるなど政府としてできる限りわかりやすい丁寧な説明を行っていく考えであります。まずはそうした状況にならないよう引き続き、高い緊張感を持って政府と自治体が一体となって、感染拡大の防止に全力を尽くしていきます。
そして今、言われたですね、これまでの対応を振り返ってみてどうだったかということでありますが、例えばクルーズ船についてでありますが、3700名を超えるクルーズ船における見えないウイルスとの戦いという、これは前例のないオペレーションでありました。それに加えまして、また全国規模のイベントの中止、延期、規模縮小や学校の臨時休校要請、管理の強化など国民の皆さまにご協力をいただきながら、あらゆる手だてを講じてきたところであります。その中でクルーズ船におきましても、今までにない対応だったんですが、限られた既にそのときある支援の中でわれわれも最善を尽くしてきたつもりであります。
しかし、そうした事態がこれから起こったときにですね、あらかじめそのような設備を用意しておけばよかったのかどうかという点においてはですね、まずは今現在の状況に対応することに全力を尽くさなきゃならないわけでありますから、そうした対応がこれは一段落したところにおいてはですね、さまざまな検証を行っていく。そしてもし、次に起こったときにはさらに万全を期していく必要があるんだろうとこう思っております。国内の感染の状況についてはですね、さまざまな手を打った結果ですね、現時点では爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかというのが専門家の皆さまの評価であろうと思います。今後ともですね、依然として警戒を緩めることができない状況でありますが、国民の健康・生命を守るために全力を尽くしていきたいと思ってます」
-東京五輪・パラリンピックは予定通り開催できるとの考えか。トランプ米大統領が言う1年延期や規模の縮小、中止となる可能性はあるか。国際オリンピック委員会(IOC)がそれを判断するタイムリミットはいつごろになるか
「われわれ、東京招致が決定した段階からですね、今年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて全力を挙げてまいりました。そしてそのオリンピック・パラリンピックにおいてはですね、アスリートの皆さんや観客にとって安全で安心な大会になるように、感動を与えられる大会になるように、まさに日本全体、ワンチームとなって力を尽くしてきたところでありますし、現在も準備を進めています」
「来週にはいよいよですね、聖火を日本に迎え入れることになりますし、私自身、26日には福島を訪れて、聖火リレーでスタートに立ち会わせていただきたいと考えています」
「IOCのバッハ会長はですね、予定通り本年7月24日の開催に向けて、オリンピックの成功のためにわれわれは全力で努力すると発言をしておられると承知をしておりますが、またこのIOCとですね、世界保健機関(WHO)が緊密な連携のもとで状況を注視していると承知をしております。われわれとしては、そうした方針のもとでIOCを含めた関係者と緊密に連携をとって対応していくことに変わりはありません」
「トランプ大統領にはですね、昨日私からオリンピックの開催に向けて努力をしている旨を説明をいたしまして、大統領からは、透明性のある努力を評価するという発言がありました。その上でオリンピックの成功に向けて日米で協力をしていくということで一致をしたところ、緊密に連携をしていくということで一致をしたところであります」
「延長や中止については、その首脳会談では一切話題にはなっていないということでありますが、いずれにせよですね、今後ともIOCともよく連携をしながら、また当然IOCもWHOと緊密に連携をしているわけでありますが、われわれとしてはですね、とにかくこの感染拡大を乗り越えてオリンピックを無事に開催したいと考えています」
--中国湖北省滞在の外国人の入国拒否を2月1日から行ったが、中国全土からの入国制限は3月5日だった。今から振り返ると入国制限をした時期が遅かったのではないかという反省はあるか。その判断の際に習近平国家主席の訪日に配慮したのか。
「まず初めに、習近平国家主席の国賓来日が予定されておりました。この国賓来日が、この中国に対するさまざまな制限に対して影響を与えたのではないかということがよく指摘をされていますが、そんなこと全くありません。政治・行政の最大の使命は国民の健康と命を守ることであります。それを最優先に判断をしてきたところであります」
「そして、水際対策についてはですね、日本時間1月31日未明のWHOの宣言を受けて新型コロナウイルス感染症を感染症法上の感染症に指定したほか、無症状感染者が生じた事実も踏まえ、入管法に基づく入国拒否措置を講じたところであります」
「これまで諸外国における感染者数や移動制限措置の動向等を踏まえて、対象地域を順次拡大をしてきたところでございますが、引き続き状況を注視したような分析をし、機能的な措置ですね、躊躇(ちゅうちょ)なく発動していく考えであります。われわれとしては水際対策においてはですね、適切に判断してきたと考えています」
--景気対策の一環として消費税を一時的に5%に下げるようなことも聞くが、消費税の引き下げについてどのように考えるか
「今回の感染症が経済に与えている影響については甚大なものがあると考えています。その中でですね、また世界中のマーケットに動揺が見られるわけでありますが、各国当局と、そして日本銀行とも緊密に連携しながら、必要とあればですね、G20(20カ国・地域)の合意に沿って適切に対応していきたいと考えているところであります」
「えー、まあ、自民党のですね、若手有志の皆様方からも、この際、消費税については思い切った対策をとるべきだという提言もいただいているというふうに承知をしていますが、今回の消費税の引き上げ、昨年の引き上げについてはですね、全世代型社会保障制度へと大きく転換していくために必要な措置であったということは申し上げてきたところでありますが、今、この経済への影響は、相当な影響があるわけであります」
「しかし、その中でわれわれはしっかりと雇用を守り抜き、成長軌道に、確かな成長軌道に戻していかなければならないわけでありまして、何をすべきか、何をすべきかということについてはですね、こうした提言も踏まえながら、そして世界経済の動向を注意深く見極めて、さまざまな可能性を想定しながら、今後必要かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講じていきたいと、こう考えております」
--経済対策はどのぐらいの規模と予想するか
「あの、現在ですね、年度末を迎える中にあって、4300億円のですね、財政措置として、1・6兆円の金融措置を講じたところであります」
「そしてさらに先ほど冒頭発言させていただいたようにですね、今の段階においては、感染拡大をですね、阻止をするために、全力を尽くしていきたいと、こう思っておりますが、その後においては何とかですね、経済を安定した成長軌道に戻して、そして国民の皆さまの中に活気が戻り、笑顔が戻るように思い切った大胆なメッセージ性の強い対策をしていかなければならないと考えております」
「そのため、具体的にどういう対策を打っていくかということにおいてはですね、与党とともに練り上げていきたいと考えています。これは国内だけではなくて、世界経済全体が相当、この動揺しているわけでありますから、日本だけではなくて、世界各国G7(先進7カ国)、G20とも協力をしながら、この経済の状況に対応していく必要があるんだろうというふうに、こう思ってます。その際はですね、いずれにしましても、必要なマクロ経済財政政策を打っていきたいと思ってます」
--感染者の多い北海道の知事が法的根拠のない緊急事態宣言を出して毎週末、外出自粛を要請している。市民生活が制限され、経済も被害を受けている現状をどう見ているか。対策をどうするか。収束の見通しは
「まず、北海道においてですね、鈴木(直道)知事をはじめ、北海道の皆さまの新型コロナウイルスの闘いに敬意を表したいと思っています。また、北海道の対策については、専門家がその効果についてですね、3月19日を目途として公表する予定があります。今後の対応は、その見解を踏まえることが大切ではないのかなと思います。
また、例えば、この今、北海道において新たに感染者が出てくる中においてもですね、大変皆さん、道民の皆さんも不安なんだろうと思います。特にマスクについてでありますが、北海道6市町村の市民の方に直接お届けする取り組みを行っておりまして、さらに政府が買い上げたマスクを介護施設等や医療機関に配布をしていく考えでありますし、道民の皆さまの健康を守る措置については、政府としても北海道とですね協力をしながら進めていきたいと思ってます。
その中においてですね、臨時休校している、休業している状況がいつ解除されるのか。これは本当に子供たちもそうでしょうし、ご両親もですね、学校関係者も大変な関心を持っておられると思いますので、率直に言ってですね、このウイルスについては未知の部分も多いわけであります。今後、推移は予断を許さない部分もあるわけでありまして、感染の現状や感染が発生した事例などについては、しかし、他方、冒頭申し上げたように、分かってきたところもあるわけであります。ですから、今、われわれ、いつこの感染が収束するかというと、残念ながら今、私がここで申し上げる状況にはないわけでありますが、われわれとしてはですね、最初、申し上げたように、できる限り感染が爆発的に広がることがないように全力を挙げています。
そして、なるべくそのピークを後ろに倒すように努力をしている。なぜやっているかということについては先ほどご説明をさせていただいたところでございますが、その中でですね、あの各地域における感染の状況等も踏まえながら、先ほどの学校をどうするかということでございますが、専門家の意見を聞きながら、再開の判断をしていきたいと考えております。
③に続く