治療薬 現時点での候補は?
2月23日、河野太郎防衛大臣が新型コロナウイルス感染症の治療についてツイッターでコメントしました。
アビガン、カレトラ、レムデシビルという3つの治療薬に関する内容です。
同様の内容が首相官邸のホームページにも発表されています。
これら3つの薬剤はどういったものか、解説します(薬剤のお話ですので今回の内容は専門的な内容を含みます)。
今の時点で日本国内で新型コロナウイルス感染症の症例に最も多く使用されているのはカレトラです。
カレトラはロピナビルという薬剤とリトナビルという薬剤の合剤であり、HIV感染症の薬剤です。
かつてはHIV感染症の治療薬として第一選択薬でしたが、近年は「内服回数が1日1回1錠で良い」「副作用が少ない」「錠剤が小さい」「食事と関係なく内服できる」などの新しい薬剤が登場したことから、カレトラが抗HIV薬として使用される頻度は減ってきています。
なぜHIVの薬が新型コロナウイルス感染症に効くのかと思われるかもしれませんが、元々このカレトラはプロテアーゼ阻害薬という種類のものであり、ウイルスの増殖を抑える薬剤です。HIVと新型コロナウイルス感染症が似ているというわけではありません。
実は以前からこのカレトラは同じコロナウイルスによる感染症であるSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)に有用かもしれない、と言われていました(Thorax. 2004 Mar;59(3):252-6.、Infect Chemother. 2015 Sep;47(3):212-22.など)。
そのため、今回の新型コロナウイルス感染症の流行が始まった当初からカレトラは臨床試験として中国で患者さんに投与されていますし、日本国内でも国立国際医療研究センターなどの医療機関で複数の患者さんに使用されています(「NCGM COVID-19入院患者の背景・症状・診断・治療の概要」)。
これは「適応外使用」として、それぞれの医療機関の倫理委員会などの審査を経て、患者さんに十分な説明を行った上で同意が得られた場合に使用されるものです。
注意すべき点としては、併用できない薬剤が多いので、服用中の薬剤の種類を事前に確認する必要がある点、万が一HIVに感染していた場合に中途半端な治療となりHIVが耐性化してしまうことがあるため事前にHIVの検査が必要になる点が挙げられます。
治療効果については、現時点では明らかではありません。
中国での臨床試験の結果が中国語で報告されているようですが、残念ながら有効性は示されなかったようです。
よりエビデンスレベルの高いランダム化比較試験の結果が待たれるところです。
レムデシビルは元々はエボラ出血熱の治療薬の候補としてこれまで他の臨床試験で使用されていた薬剤です。
現在もコンゴ民主共和国で流行が続いているエボラ出血熱の症例に対して、ランダム化比較試験という形でレムデシビルが投与されていました。
しかし、結果としてはレムデシビルはMAb114、REGN-EB3という2つの薬剤に治療効果が劣ることが分かり、現在はエボラ出血熱への投与は中止されています(N Engl J Med. 2019 Dec 12;381(24):2293-2303.)。
そんな中、このレムデシビルが新型コロナウイルス感染症に有効である可能性が出てきています。
武漢ウイルス研究所がCell Researchという医学誌にレムデシビルの新型コロナウイルスに対する効果に関する報告を発表しました。
培養細胞に新型コロナウイルスを感染させ、48時間後のウイルス増殖の抑制効果を見たところ、レムデシビルで高い阻害効果が観察されたというものです(Cell Res. 2020 Feb 4. doi: 10.1038/s41422-020-0282-0.)。
また、アメリカで最初に新型コロナウイルス感染症と診断された症例にもこのレムデシビルは投与されています(N Engl J Med. 2020 Jan 31. doi: 10.1056/NEJMoa2001191.)。この患者さんはその後回復していますが、それがレムデシビルの効果によるものかは分かりません。
官邸のホームページに掲載された「新型コロナウイルス感染症対策本部(第 12 回)」の資料によりますと、国内でも国立国際医療研究センター(感染症で有名な病院ですね)を中心に3月からこのレムデシビルの国際共同医師主導治験が開始されるとのことです。
アビガン(薬剤名:ファビピラビル)は日本の製薬会社である富士フイルム富山化学が開発した薬剤です。
日本国内ではインフルエンザ薬として承認されていますが、催奇性があることから新型インフルエンザなどが発生した場合などに備えて備蓄されており、普通のインフルエンザの患者さんに使用されることはありません。
RNAポリメラーゼという酵素を阻害することから、インフルエンザ以外のRNAウイルスにも幅広く効果が期待できる薬剤と言われています。
本薬剤もレムデシビルと同様、エボラ出血熱に使用されたことがあります。2014-2015年の西アフリカでのエボラ出血熱のアウトブレイクの際にアビガンの治療効果が検討されていますが、明らかに有効とまでは言えない結果となっています(PLoS Med. 2016 Mar 1;13(3):e1001967.、Clin Infect Dis. 2016;63(10):1288-94.)。
また日本でも年間約80例の感染者が報告されており、27%という高い致死率のSFTS(重症熱性血小板減少症候群)に対しても有効である可能性が示されており、日本国内で臨床試験が行われました(近日中に結果が発表される予定と聞いています)。
新型コロナウイルスに対する効果はどうかと言いますと、先程のレムデシビルのウイルス阻害効果を見たCell Researchの研究ではこのアビガンも評価されており、実験室レベルでは一定の阻害作用は確認されています。
ただし、国内で実際の患者さんに使用されるのはこれからであり、新型コロナウイルス感染症に対する有効性については現時点では不明です。
その他の候補薬剤
中国ではこれらの薬剤以外に、クロロキンという抗マラリア薬が使用されているようです。
クロロキンはかつてマラリアの治療薬として世界中で使用されていましたが、近年はクロロキン耐性マラリアの増加によりマラリアの治療には使われなくなってきています。
日本でも現在は未承認薬の扱いとなっています。
クロロキンと類似した構造を持つヒドロキシクロロキン(プラケニル)は国内では全身性エリテマトーデス(SLE)などに使用されていますが、これはヒドロキシクロロキンが抗炎症作用、免疫調節作用を持つためです。
クロロキンにも同様の作用があり、これが新型コロナウイルス感染症に有効な可能性がある、というわけです。
これまた先程のCell Researchの報告で実験室レベルでの新型コロナウイルスの抑制効果が示されています。
しかし、これも他の薬剤と同様に、現時点ではヒトでの治療効果は不明です。
この他、アルビドル、インターフェロンなどが中国では使用されていますが、まだ確実に有効と言えるものではありません。
また新型コロナウイルス感染症から治癒した人の血液中にある「新型コロナウイルスに対する抗体」を抽出した回復者血漿と呼ばれる血液製剤も有効である可能性がありますが、今後の評価を待つ必要があります。
これらの薬剤の治療効果は現時点では不明、大事なのは予防です
これらの薬剤は治療効果があるかもしれない、というものであり、これらを使うことで新型コロナウイルス感染症が治ることを保証するものではありません。
治療効果があるのか、そして安全性についても問題がないか現時点では分からないため、それを検証するために臨床試験が行われるわけです。
また、新型コロナウイルス感染症は治療薬を使用しなくてもほとんどの方が自然に治癒する感染症ですので、これらの薬剤は特に基礎疾患のある方や高齢者など重症化するリスクの高い方、あるいは重症の患者さんを対象として臨床試験が開始されると予想されます。
ということで、今の時点で新型コロナウイルス感染症に対して確実に有効であると言えるのは感染予防です。
こまめな手洗い、咳エチケットをより丁寧に行っていきましょう。
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